3月後半の瓏山です。
○安藤政輝退官記念演奏会
東京芸大の安藤政輝教授の退官記念演奏会が芸大の奏楽堂であり、久しぶりに上野の山に出かけました。
安藤教授は、宮城道雄の直系の弟子でもあり、筝曲の演奏家として日本初の博士号をとられた邦楽の大家です。
奏楽堂に出向いたのは初めてだったのですが、流石に日本の芸術教育の本山の格式、壁面は木で組み上げられ、正面に巨大なパイプオルガン。
邦楽の演奏者は、教員、学生すべて黒紋付袴の正装、ぴしっとした雰囲気が場内に漂っています。
1100名収容の会場に満員の客層も普通の演奏会とはちょっと違った感じを受けましたね。
曲目は、すべて宮城道雄の手になるもので、特に、昭和11年太田道灌450年祭記念曲として東京都の委嘱により作曲された「道灌」は、箏、17弦、3弦、胡弓、尺八、笛、笙、打ち物という大掛かりな編成による70名の大合奏。
また「壱越調箏協奏曲」は、たった一面の箏とフルオーケストラとの協演 、大海を行く一艘の箏が、時にブラスの大波にのみ込まれるかのようでいながらも確かな航海を続けていくという絶妙のコラボレーション。
いずれもあらゆるジャンルの音楽が構成できる芸大ならでは接することのできない演奏で堪能いたしました。
教授である現役アーティストが、芸名でなく本名でプログラムに記されており、尺八の人間国宝山本邦山が山本泰正、箏の深海さとみが吉川さとみであることなども初めて知りました。
○卒業式
孫が小学校を卒業するというので、のこのこと出かけました。
演壇正面に国旗が掲げられ君が代斉唱。
卒業証書は総代方式でなく、子どもたち一人1人が名前を呼ばれ壇上に上がって校長先生から受け取ります。
小さいながら一張羅を着せてもらって誇らしく背筋を正して堂々と。

手前は送る側5年生
その後壇上に整列して、順番に一言ずつ旅立ちの思いの発表、ひとりとしてくぐもった声は無く、はきはきとした大きな声で、微笑ましく、子どもたち一人一人の輝きと可能性を感じましたね。
老人は、若さの輝きをまぶしく感じるなかで、彼らがそれぞれ成長した時の未来の社会に期待出来そうな気がしてきて明るい気分になりました。
○かたくりの花
写真が趣味で玄人はだしの腕前の従兄弟に誘われ、長沼公園のかたくりの花観賞会に出かけました。
長沼公園は多摩丘陵自然公園に属し、近くに平山城址公園などもあります。
いつも3月下旬には丘の斜面一面に咲くというカタクリの花は、今年はまだ1,2輪程度、50名ほどの参加者は、寒さに耐えて咲いた小さな可憐な花をようやく見つけて観賞していました。

もののふの八十おとめらがくみまがふ
寺井の上のかたかごの花 大伴家持
家内ならば大いに興味を示したろうなと思うのですが、私奴としては、山あいを渡る鶯の声にどちらかといえば春を感じておりました。
そう言えば、絵画など空間のありように興味を持つ人間と、音の流れという時間の経過に惹かれる人間とは、生まれた時から分かれているんだと言ったのは、内田百閒先生でしたっけ。
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